二善

鹿追町の市街地中心部にある「二善」の扉を開けると、まず目に入るカウンター席の右手には、プライベートなスペースを確保した大小の個室があり、その奥に厨房があります。ランチに備え仕込みに励むご主人の高尾幸弘さんにお話を聞くと、最近はランチとお弁当の予約が多く、夜の居酒屋営業より忙しいそうです。その理由は、奥さまのいつみさんが目指した「おいしくてコストパフォーマンスが良く、ボリューム満点！」というコンセプトと、高尾さんの料理の技とこだわりがマッチしたためです。

「牛肉は鹿追牛を使用し、ステーキ肉やミンチ肉も当店で加工します。メンチカツやコロッケ、付け合わせの総菜もすべて手作りです」と高尾さん。高尾さんの祖父は、かつて鹿追町で肉の小売店を営んでおり、高尾さんも食肉専門の学校に通っていたため肉の取り扱いに精通しています。おいしい部位や食べ方、食べごろを見極めて手軽な価格で提供するためのノウハウを熟知しているのです。さっそく自家製ソースがかかった熱々のメンチカツをほおばると、滴る肉汁とタマネギのほのかな甘みが口に広がり、ソースの香味と合わさってますます食欲が膨らみます。「料理をお出しして、お客さまに『こんな値段でいいんですか？』と言われるのが、ほんとうにうれしいです」と高尾さんは、こだわりの肉料理を手に笑顔で語ってくれました。