鹿追町には、地元や観光の方から愛されるレストランがたくさんあります。今回ご紹介するのは、手入れのいきとどいた400坪の芝生と白樺林に囲まれた「レストラン&コテージ カントリーパパ」。酪農家直営の乳製品や手作りハム、ソーセージが自慢の広々とした牧場風景が美しいレストラン「カントリーホーム 風景」。そして、然別湖に向かう白樺林の中にたたずむ赤い屋根が目印の「森のキッチン かわい」など、どれも地産地消にこだわった洋食レストランです。酪農と農業の町、鹿追町ならではのボリューム満点、豊かな味わいを堪能してください。
夏は青々とした芝生と白樺の木々、冬は純白の雪原になる4000坪の敷地にたたずむ、赤い腰折れ屋根のログハウスが、「レストラン&コテージ カントリーパパ」です。看板メニューのひとつ「鹿追牛ステーキセット」は、バランスの良い脂身と赤身、やわらかな食感とジューシーなうま味で、まるで鹿追町の大自然を味わっているかのよう。その肉を引き立たせるソースも、コックを担当する山岸直美さんが試行錯誤し長年かけて完成させた逸品です。野菜、果物、モルトビネガー、香辛料、隠し味のしょうゆなどから作られた、ほどよい酸味と絶妙な甘味で、鹿追牛との相性抜群です。
オーナーの山岸宏さん一家は、もともと畑作農家で、農業を観光資源として鹿追町の魅力を伝えるためイチゴ狩り農園を造り、1994年にテーブル席5席だけの小さな家庭レストランからスタートしたのが、カントリーパパのはじまりです。その後、テラスや建物の増築、庭園など少しずつ手を加え、2000年にコテージを開設し、なかでも力を入れたのは景観づくりだそうです。「広大な芝生をベースにした敷地内は、朝でも夕方でも、晴れても曇っても、まるで北米や欧州のカントリーにいるような気分になれるように意識して計画しました。
牧場より牧場らしい周囲に調和したランドスケープを目指したことで、北海道十勝平野、鹿追町の大自然と季節感を身近にリアルに感じていただけると思います」と山岸さん。そして、味覚的にも季節感が味わえるようにと、自家栽培の野菜を中心に鹿追町産の肉や卵を使ったランチ「農園ランチ」という看板メニューも生まれました。カントリーパパの一皿一皿には、鹿追町の豊かな恵みが凝縮しています。
鹿追町の中心地から国道274号線を士幌町方面に18㎞ほど車で走り左折すると、美しい牧場風景が広がります。その一角に木々に囲まれた緑の屋根と広いオープンデッキが目を引く、素敵なログハウスが建っています。そこが酪農家直営のレストラン「カントリーホーム 風景」です。「約60年前、私の父は安心安全で栄養価の高い牛乳が取れる乳牛を育てるために、牧草を育てる土づくりから始めました。そして、母とその仲間たちが、子どもの未来を大きく左右するのは食にあるとの思いから、子どもたちに安心して食べさせられるソフトクリームやヨーグルトを作ろうと2000年から乳製品の商品開発を行いました。
その4年後、搾りたてのミルクを使ったできたてのアイスやソフトクリームを味わってもらおうと、牧場の一角に小さなログハウスのカフェをオープンしたのがはじまりです」と専務を務める清水伸哉さんは話します。清水さんは大学を卒業後、建築資材のリース会社に営業職として就職し、11年前にカフェレストランや乳製品販売を行う家業を継ぎました。日本各地の百貨店の物産展でも大人気のヨーグルト「でーでーぽっぽ」をはじめ、試行錯誤を繰り返し、なめらかな食感を実現したピスタチオやヘーゼルナッツ味の「ナチュラルスティックアイス」を製造販売し、自分たちにしか作れない商品を、自信をもって薦められることの喜びを知ったといいます。
今後は、広大な敷地の一角に気持ちよく過ごせるキャンプ場を建設し、ゆっくり牧場で過ごしながら酪農体験や乳製品作りなどができる、酪農家ならではのアイデアと環境を生かしたキャンプスタイルを提案したいと計画中だそうです。「私が引き継いでから11年余り、『何度も訪ねてくれる方、あるいは初めて訪れる牧場でゆっくりくつろぎたい方々にも満足していただけるよう努力する』という理念でこれまで励んできました。今後もそうした気持ちを持って、さまざまなチャレンジをしたいと思っています」
白樺林に囲まれ、童話に出てくるような山小屋風の赤い三角屋根が目印の「森のキッチン かわい」の扉を開けると、大きなミズナラの木が出迎えてくれます。シマフクロウの写真なども飾られ、室内にも森が広がっているのです。「ここをオープンしたのは1995年です。私もびっくりしたのですが、今年で27年目になるのですね。お店のコンセプトは、ご覧のように森の中で食事が楽しめることです。オープン当初と比べるとメニューは変わっていますが、ハンバーグとステーキは変わらずの定番メニューです」とオーナーシェフの川合喜美子さんは話します。
種類が豊富なハンバーグやリーズナブルな価格で味わえるステーキには、黒毛和種とホルスタインの交雑で生まれた牛肉(十勝産F1牛)を使用。地元産の新鮮な野菜を中心に旬の味わいを意識しながら、素材の良さを損なうことなく調理することを心掛けているそうです。店内外で森の息吹を感じながら、十勝地方鹿追町ならではのおいしさと自然をゆったり堪能できます。