SHIKAOI GRAPHICS vol.3
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街の中心部から道道85号鹿追糖ぬら平線を北上すれば、鹿追町が誇る絶景のひとつ、然別湖に到着します。然別湖は、北海道のほぼ真ん中に位置し、大雪山国立公園内で唯一の自然湖です。北海道で最も標高の高い湖で、標高は約800m。日本国内でトップクラスの透明度を誇ります。湖を囲むようにそびえる美しい山々は、およそ30万年前から始まった火山活動によって、異なる時代に誕生しました。南ペトウトル山と北ペトウトル山(旧期然別火山群)は、原生人類の起源とされる年代と同じ頃、約30~10万年前の火山活動によってつくられた山です。その後、約6~1万年前の火かびクトンをこしとる器官、鰓さは耙の本数が多いのが特徴です。体高が高くヒレも長く大きく、さらに体色が生息場所によって変化するため、個性豊かな姿を見せてくれます。湖の底石やらめきをベースに、ピンクやオレンジの斑点が浮かぶ魚体は、まさに湖の宝石です。に出会わない然別湖の景色は、まさに悠久の時間が創り出す絶景といえるでしょう。山活動により、西ヌプカウシヌプリ、東ヌプカウシヌプリ、白雲山、天望山が形成され、北部ヤンベツ川をせき止める形で然別湖ができました。この天然のダム湖ができたことで、ヤンベツ川に生息していたオショロコマ(低水温を好むイワナの仲間)が然別湖に陸封されて独自の進化を遂げ、美しい体色をまとう固有種のミヤベイワナが誕生したのです。ミヤベイワナは、河川より少ない水生昆虫や陸生昆虫の環境下でプランクトンを多く捕食するようになったため、他のオショロコマよりプラン湖水の色によって、ブラウン、グリーン、ブルーなどのき多種多様な命がいたるところで輝き、一日として同じ風景 い   ヤンベツ川に遡上し体色を変えたミヤベイワナ。ミヤベイワナは、然別湖で独自の進化を遂げ、イワナのなかでも特に美しい魚といわれるオショロコマの固有亜種(特定の場所でしか生息・生育・繁殖しない種)。春から夏にかけて、湖のあちらこちらで見ることができるカワアイサの親子。初冬に飛来し、然別湖で子育てをする。夏、朝もやに包まれた然別湖へボートを出せば、幻想的な風景の一部になれる。もやが形を変えながら湖面をゆらめく、唯一無二の景色。03Spring &Summer 2022異なる時代の火山活動が創造した然別湖の荘厳な風景Volcanic Activity at“Lake Shikaribetsu”

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